気鋭の演者たちによる《噺の動物園》、「文春らくご動物園」4/27昼夜で開催!


オンラインの落語会などでおなじみの文春落語が、新たな落語会をリアルな公演として開催する。

「動物園」という一風変わった題を冠したユニークな落語会、「文春らくご動物園」。

人間が毛皮を被って虎になりすます落語「動物園」をはじめ、馬や豚といった動物たちが登場する演目が並ぶとても個性的なこの公演は、気鋭の演者を迎えて4月27日(木)に開催される。

出演者は、昼公演には春風亭昇也、玉川太福、三遊亭兼好が、夜公演には三笑亭夢丸、柳家三三、入船亭扇辰が並ぶ。

特に見どころといえるのが、三遊亭白鳥作「任侠流れの豚次伝」を、昼公演では太福が、夜公演では三三が披露するところだろう。

落語と浪曲だけでなく、演者のトークもたっぷりと堪能できるとのこと。

現在、チケット好評発売中。

また、文春落語から本公演の「狙いと見どころ」のテキストが到着。これで事前の予習をしておきたい。

「文春らくご動物園」〜狙いと見どころ

★昼の部

・春風亭昇也「動物園」
 「動物園」は、明治後期に上方で作られた「明治の新作」「古い現代物」であるのに、昭和、平成を生き延びて、今も若手中堅に演じられているネタだ。時代を経ても色褪せないということは、落語自体に「新しさ」があるからだ。時代を超えて愛される「動物園」という施設を舞台にしているのも、長く親しまれる理由だろう。古典を得意にしながらも、常に時代の空気を反映する落語を演じる春風亭昇也ならは、「動物園」に新たな息吹を吹き込み、さらに長生きなネタにしてくれるだろう。舞台が動物園だけに、最大の見どころは動物の可愛らしい仕草だが、本編に登場するのは生きた動物ではなく、人間が中に入った着ぐるみだ。生き物ではない、着ぐるみの愛らしさをどう表現するのか、それこそが演者の腕の見せ所になる。

・玉川太福「任侠流れの豚次伝」
 三遊亭白鳥の原作は、擬人化された動物が活躍するファンタジーだが、物語自体は「清水次郎長伝」も真っ青な本格的な任侠ドラマだ。侠客伝なら、浪曲師の出番である。玉川太福らが属する玉川勝太郎一門のお家芸は「天保水滸伝」だ。房州の男伊達、飯岡助五郎と笹川繁蔵の一家が大利根河原で大喧嘩をする痛快物語を演じる太福が、落語版の侠客伝を胸の空くような名調子に乗せて、唸りまくる。決闘あり、人情噺あり、許されない愛もある。全十席という長編の、どの部分を演じてくれるのかも楽しみだ。

・三遊亭兼好「ねずみ」
 江戸の名工、左甚五郎は、不忍池の龍、日光東照宮・陽明門の眠り猫、そして本編の仙台「ねずみ屋」のねずみなど、なぜか動物を彫るのがうまい。それも、ただの動物ではなく、まるで命があるように動き回る「生きた動物」を彫るのである。「そんなことはありえない」と思いつつ、聴いているうちについつい木彫りの動物たちの可愛さ、見事さに心を奪われ、「この先どうなるのか」と身を乗り出してしまう。そんな甚五郎作の中でも「ねずみ」は演じ手も数多いが、三遊亭兼好の明るさ、愛嬌が群を抜いている。ただでさえ可愛い彫り物のねずみに、兼好ならではの悪戯心が加わって、面白さが倍増する。噺の中盤、「ねずみ屋」の主人の長いひとり語りが長すぎるのがこのネタの唯一の欠点だったが、それを兼好が見事に解決して見せた。落語ファンなら、気がつくはずだ。

★夜の部

・三笑亭夢丸「馬大家」
 明るく歯切れの良い芸で落語芸術協会の中堅ホープと評される夢丸は、かつて寄席の先輩たちが演じた昭和の新作を蘇らせ、現代的な演出で面白く聴かせてくれる。「馬大家」もそんなレトロ新作の一つで、馬が大好きな大家を相手に「馬にかかわること」を山ほど並べたて、大家の気分を良くして長屋を借りようという調子の良い男のお話。明るくさっぱりした夢丸の芸風を生かし、今は古くなってしまったくすぐりの数々を洗い直して、埋もれかけた落語をパワーアップさせている。「こんな面白い噺があったのか」と現代の観客に大いに驚いていただきたい。

・柳家三三「任侠流れの豚次伝」
 古典派の実力者である三三は、実は新作好きで、古典の大ネタに取り組み時よりも、新作を演じている方が楽しそうに見える。新作の雄・三遊亭白鳥からは「俺の新作なら何でも自由に演じて構わない」と言われているという。三三は白鳥の自由な新作から古典を演じる上でのヒントを学び、白鳥は三三の高座を参考にさらに面白い自作の演出法を知るのだという。三三は「流れの豚次伝」の全十席の通し公演を何度も演じており、作者の白鳥以上に「豚次伝」の魅力と面白さを知っている。今回は十席のうち何を演じてくれるのかは当日のお楽しみだが、その話を演じても、新作ではなく古典のスタンダードを演じているかのような、安定度抜群、面白さに溢れた高座になることは疑いない。

・入船亭扇辰「田能久」
 師匠である九代目入船亭扇橋の十八番の一つに、弟子の扇辰が挑戦する。ほのぼのとした水彩画のような味わいで親しまれた九代目扇橋には、ローカル色と人情に溢れた「田能久」はぴったりのネタだった。これに対して、扇辰はメリハリのある口調で、濃淡のはっきり情景画を描きだす。悪役ながら人間味豊かな大ウワバミと、そのウワバミに狸と間違えられる田能久さんの惚けた味わいの対比が、一番の見どころだ。師匠の自慢のネタに、愛弟子が自らの持ち味で新たな面白さを加えていく。今回のトリにふさわしい佳品であると確信する。


【公演詳細】
2023年4月27日(木)
公演名: 「文春らくご動物園」
会場: 伝承ホール/渋谷区文化総合センター大和田6階(東京都渋谷区桜丘町23-21)

【昼の部】14時30分開演

春風亭昇也「動物園」
玉川太福 「任侠流れの豚次伝より」
演者トーク
三遊亭兼好「ねずみ」

【夜の部】19時開演

三笑亭夢丸「馬大家」
柳家三三 「任侠流れの豚次伝より」
演者トーク
入船亭扇辰「田能久」

チケット(全席指定) 一般席4,000円 / 桟敷席3,800円

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