今、人気急上昇中の浪曲師、玉川太福のイベント「玉川太福CD発売記念イベント~唸りとタンカと囲み取材と~」が12月7日に所属レコード会社にて行われた。
玉川太福は「演芸界のワンダーボーイ」との異名をとる入門12年目の若手で、すでに「第1回渋谷らくご創作大賞(2015年)」と「第72回文化庁芸術祭 大衆芸能部門新人賞(2017年)」を受賞している実力者。その太福は、先月「浪曲 玉川太福の世界」というタイトルのCDを2枚同時発売し、その発売記念としてイベントが開催された。
発売されたCDは『古典編』と『新作編』に分かれており、『古典編』には、ザ・浪曲的な物語であり、亡くなった国本武春からならったという「若き日の大浦兼武」、もともとは講談から来たもので立川談志も口演していたという「青龍刀権次」、玉川のお家芸である「天保水滸伝」という3席を収録している。
『新作編』には、「十八番の武器であり代名詞となっている」と自らが語る「地べたの二人」シリーズから4席が収録されている。「何も起こらない、ただクスっと可笑しみがこみ上げてくる」と自身が説明するこのシリーズは、サイトウさんとカナイくんが登場する「何気ない日常の些細なすれ違い」を描いたシリーズ作品で、今では11席あるという。
イベントがおこなわれたのはレコード会社に併設されているカフェで、演芸を見る雰囲気とは全く違う空間だが、あえてそこを会場とした意図がよくわかるようなユニークなイベントとなった。会場には、報道陣と一般客が一緒の空間に居合わせ、主役の太福を囲み記者会見を行うという趣向。囲み取材といわれる、取材対象者を報道陣が囲むその後ろに一般客が座り、その一部始終を写真撮影をしながら見守っているというスタイルで行われた記者会見の後に太福は、観客からの質問も受け、写真撮影にも応じた。
会見の後は、この日のために特別に用意したという「地べたの二人」のスペシャルバージョンを披露し、会場に集まった約50人の観客を魅了しただけでなく、浪曲で新作をやるという可能性をしっかりと提示して見せた。
現在大ブレイクをしている講談師の神田松之丞に「これだけは負けないというものは?」という質問に、「身長です」と即答し笑いを誘うなど会見は終始笑いに包まれた和やかな雰囲気で進み、太福のユーモア溢れる人柄を感じることができた。
「古典と新作を手掛け続ける二刀流で行きたい」と気持ちいいぐらいに言い切った太福と、それを見守るファンの温かさが印象的だったが、12歳の少年が観覧に来ているなど、浪曲のすそ野がしっかりと広がっていることを実感できたイベントだった。
【玉川太福(たまがわ・だいふく】プロフィール
1979年新潟県生まれ。2007年3月、二代目玉川福太郎に入門、太福。2013年10月、浅草木馬亭にて「玉川太福名披露目興行」を行う。2015年に第一回渋谷らくご創作大賞受賞、2017年に第72回文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞受賞。年間50公演を超える独演会、近年では新宿末廣亭、天満天神繁昌亭など落語の定席にも出演、映画「男はつらいよ」浪曲化など、幅広く活動を展開している。
玉川太福HP 兼ブログURL http://tamagawadaifuku.sakura.ne.jp/
【otonano】玉川太福サイトURL http://www.110107.com/s/oto/diary/daifuku/list
【商品詳細】
「浪曲 玉川太福の世界」(古典編)MHCL-2791
国本武春から習い受けた出世譚の「若き日の大浦兼武」、落語や講談で演じられ、師匠の福太郎より語り継がれた「青龍刀権次(二)召し捕り」、お家芸となる「天保水滸伝 鹿島の棒祭り」、の3席を収録。
〔収録演目〕
1. 「若き日の大浦兼武」
2. 「青龍刀権次(二)召し捕り」
3. 「天保水滸伝 鹿島の棒祭り」
(作:正岡 容 / 脚色:畑 喜代司)
発売日:2018年11月28日 定価:¥2,130+税
発売元:株式会社ソニー・ミュージックダイレクト
ご購入はこちら Sony Music Shop
「浪曲 玉川太福の世界」(新作編)MHCL-2792
上司と部下の、なにげない日常を面白おかしく仕立てた「地べたの二人シリーズ」から、「おかず交換」「道案内」「配線ほどき」「湯船の二人」の4席を収録。玉川太福作による、現代の人間模様を浪花節で描いた新作浪曲。
〔収録演目〕
1. 「地べたの二人 おかず交換」(作:玉川太福)
2. 「地べたの二人 道案内」(作:玉川太福)
3. 「地べたの二人 配線ほどき」(作:玉川太福)
4. 「地べたの二人 湯船の二人」(作:玉川太福)
発売日:2018年11月28日 定価:¥2,130+税
発売元:株式会社ソニー・ミュージックダイレクト
ご購入はこちら Sony Music Shop