2022年6月25日(土)に、林家しん平が監督した映画「二つ目物語」の舞台挨拶が池袋シネマ・ロサで行われた。
24日(金)に公開された映画「二つ目物語」は落語家の「二つ目」を主人公に据えた短編3本からなるオムニバス映画。スタッフ、キャストをほぼ落語家だけで撮影されたもので、舞台挨拶には、監督の林家しん平の他に、三遊亭歌る多、柳亭市弥、林家なな子、林家あんこが登壇。
この映画は3本の短編を定席の寄席に因んで上席、中席、下席としており、それぞれ「貧乏昇進」「幽霊指南」「モテ男惚れ女」とタイトルが付けられている。
中席でホラー作品の「幽霊指南」で幽霊役をこなしたなな子は、「私は本当に怖がりで、ディズニーランドのホーンデッドマンションですら怖い」が、しん平が「映画では事故物件という設定にしているアパートは、実は、実際に不動産屋さんに本当の事故物件を紹介してもらい、そこで撮影をした」との告白に、「そんな話、今初めて聞きました!だから撮影の際に全員に塩が配られたんですね」と震えあがっていた。また、セリフを覚えられるか心配だったが、しん平に「セリフはカンペを出すから心配するな。気持ちだけ作ってこい」といわれ安心して撮影に臨むも「カンペなんかなかった」と大変だった撮影を振り返った。
下席「モテ男惚れ女」に出演した市弥は、しん平からオファーをもらった際に痩せることを条件に出されたといい、実際にクランクインまでに2か月間で7キロの減量に成功。「主食はもやしだった。カレーもごはんではなくキャベツで食べた」とダイエット生活を語った。しん平は「市弥は前座の頃の痩せているイメージのままで、脚本もあて書きをした。だから、痩せてもらう必要があった」。市弥は、そんなダイエットの話から、自身が9月の下席に真打昇進し8代目柳亭小燕枝を襲名することに言及し「にぎやかな披露目にしたいと思いますので、是非皆さん遊びに来てください」としっかりと告知を。その襲名の話題をうけてしん平も「オレも、しん平からシン平にしようかな」と笑わせた。
しん平の熱烈なラブコールによって下席「モテ男惚れ女」に弟子思いの師匠役で出演することになった歌る多は、「女優としての新境地を開拓すべく、監督に演技プランの指導を仰いだ」ところ、「いいの、何も考えないで、普段通りで」といわれたと悔しがっていた。
「落語協会落語家、色物総勢 50 名出演」に、監督、編集などのスタッフも落語家や元落語家で製作された、まさに落語家の映画といえる本作。現在、池袋シネマ・ロサで公開中。
【作品概要】
林家しん平監督 ハートフル落語映画
映画『二つ目物語』
上席・中席・下席のオムニバス
■二つ目とは?■
江戸東京の落語家は、前座、二つ目、真打と昇進いたします。前座を4 年程経て、二つ目時代は10 年位。二つ目になると羽織を着ることができ、自分で仕事を受けることが可能に。高座では自分の考えた演出をすることや新作落語を創ることもできるようになります。落語家としての自分の土台をつくり上げる大切な期間となります。
■あらすじ■
上席『貧乏昇進』
要領が悪い上に落語の仕事も無く昇進祝が負担になったまめ吉は、闇金融とは知らずに安易に融資を受けるが、大金を手にして気が大きくなり深酒の末、大金を落としてしまう。失意のまめ吉の前に恐ろしい取り立てが迫るが、その取り立てに来た男は以前……。二つ目昇進が招く仲間と金と師匠と金融が織りなす物語は意外な結末を迎える。
渋谷に福来たるSPECIAL2022 ~林家しん平監督「二つ目物語」特別上映的な~
中席『幽霊指南』
女が主軸の噺が得意でない古参二つ目の光太郎に、師匠は親心で女主体の噺ばかりをかけさせるがうまくいかない。根多は『お菊の皿』。女であるばかりか幽霊と言う難題に稽古が思うようには進まない光太郎の前に幽霊が現れた。毎晩、下手な落語を聴かされ怒り心頭で取り殺そうする幽霊に、光太郎は女の幽霊のコツを教えてくれと懇願。根負けした幽霊は地獄界の掟を破り教える事になる。果たして光太郎は女主体の噺を克服出来るのか、幽霊の最後の手段とは……。
渋谷に福来たるSPECIAL2022 ~林家しん平監督「二つ目物語」特別上映的な~
下席「モテ男惚れ女」
色男を自負する恭太は落語好きだが女も大好物のお調子者。元カノも噺家なら今カノも噺家、その間にあちらこちらで摘まみ食いを欠かさない恭太についに天罰が下る。元カノの梅花が恭太と今カノのてまりの写真を楽屋仲間に一斉メールで暴露。おまけに師匠の梅子に泣きつき、果ては噺家協会の理事会の議題に。問題提起する梅子、戸惑う恭太の師匠で噺家協会会長、茶化す幹部理事、激昂するてまりの師匠王鏡……。恭太の運命やいかに。噺家協会会長の下した採決とは……。
■キャスト■
落語協会落語家、色物総勢 50 名出演
上席「貧乏昇進」
柳家㐂三郎/橘家文蔵/古今亭菊春/春風亭一花/金原亭馬久/林家扇/柳家花飛/三遊亭歌奴/春風亭柳朝/入舟辰乃助/三遊亭歌彦/桃月庵白酒/三遊亭彩大/三増紋之助/隅田川馬石(ナレーション)/春風亭百栄(ナレーション) /他
中席「幽霊指南」
柳家さん光/林家なな子/瀧川鯉昇(落語芸術協会)/林家やま彦/春風亭一之輔/古今亭文菊/柳家花ごめ/林家きよ彦/他
下席「モテ男惚れ女」
金原亭杏寿/柳亭市弥/林家あんこ/柳家小はだ/柳亭市馬/古今亭菊之丞/古今亭志ん陽/五明樓玉の輔/金原亭世之介/三遊亭歌る多/笑組ゆたか/古今亭志ん雀/林家きなこ/他
■監督・脚本■
林家しん平
1955年 東京都杉並区生まれ
1974年 初代林家三平師匠に入門
1979年 社団法人落語協会二ツ目昇進
1990年 社団法人落語協会真打昇進
俳優出演
1981年 「セーラー服と機関銃」(角川映画)
1984年 「ゴジラ(1984 年版)」(東宝映画)
1988年 「極道渡世の素敵な面々」(東映映画)
2006年 「BS デジタル CM」(鈴木京香の演出)
2007年 「土曜ワイド劇場・おかしな刑事」(テレビ朝日)他出演
映画監督
2001年 「ゴジラ×デスギラス」(自主映画)
2003年 「伝説の・駕瞑羅(ガメラ)4 真実」(角川映画許諾作品)
2008年 「深海獣レイゴー」(劇場公開・インターメディア) ※DVD 2009年キングレコードよりリリース
2009年 「深海獣雷牙」(劇場公開・クロスロード) ※DVD 2010年キングレコード レーベル:スターチャイルドレコードよりリリース
2011年 「落語物語」(劇場公開・キングレコード/BS-TBS) ※DVD 2011年キングレコード レーベル:スターチャイルドレコードよりリリース
2019年 「深海獣雷牙対溶岩獣王牙」(劇場公開)
書籍
2011年 小説「落語物語」(角川書店) ※映画「落語物語」の書籍化
■撮影■和田正樹/林家しん平
■編集■和田正樹/林家しん平
■V F X■和田正樹/林家しん平
■総合プロデューサー■綱川敦子
■照明・美術・録音■チーム二つ目物語
■衣装・小道具■サマンサ田端
■助監督■林家あんこ/金原亭馬久/三遊亭歌彦
■お囃子■松尾あさ社中 松尾あさ/林家ひろ木/古今亭志ん雀/金原亭馬久/林家あんこ
■主題歌■東京大衆歌謡楽団
■スチール■縄島明彦
■劇中落語会ポスターデザイン■阿部光広
■ケータリング■軒小屋かま◯ぬ
■メイキング■林家あんこ
■手拭デザイン■五明樓玉の輔
■手拭デザインデータ制作■西澤美帆
■スペシャルアドバイザー■寺脇研
東京大学法学部卒業、元文部科学省官僚、映画評論家、落語評論家、落語協会外部顧問
■協力■一般社団法人落語協会/上野鈴本演芸場/新宿末廣亭/浅草演芸ホール/池袋演芸場/梶原いろは亭/軒小屋かま○ぬ/珈琲・嘗/株式会社 AI/平塚神社/有限会社上中里不動産商事/上中里 浅野屋/田中青果店/大黒屋
■制作・宣伝・配給■株式会社クロスロード
■Facebook
@futatsumemonogatari
■Twitter
@eiga_futatsume