人間国宝の柳家小三治が10月3日、有楽町朝日ホールにおいてイベント、「柳家小三治の会」を開催した。
この会はソニーミュージックから発売されているCD『朝日名人会ライヴシリーズ・柳家小三治』の6ヶ月連続発売を記念したもので、小三治は1席落語を口演した後に制作プロデューサーである京須偕充とのトークショーが設けられた非常に珍しい形式で、もちろん即完売の公演。
CD発売記念でトークショーまであるというイベントであるにも関わらず「今日はどういう会なのか知らないできました」と笑わせたり、自分の落語をCDとして残すことにあまり肯定的でない発言を繰り返して煙に巻くなど、この日も自由で飄々とした持ち味はそのまま。自由にあちこちの話を行き来するお馴染みの長いまくらも楽しく、舞台袖からマネージャーが「そろそろ落語を始めてください」と声をかけるシーンも最近の恒例となった感がありとても微笑ましい。
「『はい、ここから落語をやってください』と言われて落語をやるのは難しい」と愚痴りながらも「長短」を口演した。
中入りに続いては、プロデューサーの京須偕充と司会にTBSの長岡杏子アナウンサーが加わり、3名でトークショー。
12月に80歳を迎えるという小三治は、今年入門60年、真打昇進50年のアニバーサリーイヤーであるというが「心が改まったり、記念しようとする気持ちは全くない。日々、こんなもんじゃいけないと思っている」と語る。
また、「落語には、多弁や装飾はいらない。芸は寡黙でひそかに」と持論を展開。
そして「100歳になっても落語をやりたい。声量が落ちているとかはあるだろうが、自分がどう生きていきたいかという姿勢は感じてもらえると思う」と語り、観客から喝采を浴びていた。
終演後には、取材嫌いで有名な小三治は、メディアを前に囲み取材を受けた。
一昨年に大きな病気をした後、高座がとても楽しそうだと指摘されると「ありがとうございます。まず自分が楽しめないと、人に楽しさは伝わらない。なによりも、楽しいと感じてもらえることがうれしい。でも、この先どうなっていくでしょう」と笑顔で返答。
また、「今は、人のためにはやってない。自分のためにやっている。自分が望んでいるものは何だろうと、今はそれを追っかけています」と現在の心境を語り、「後輩を見ていても、誰かが評価してくれるだろうということを期待しながらやっている。それよりも、自分はどうなんだってことをまずわかってない」と指摘した。
柳家小三治「朝日名人会ライヴCDシリーズ」は、1999年から2011年までの朝日名人会での口演を厳選、2枚組CDに収録し、6ヶ月連続で発売されるという企画。CD発売は2007年以来12年ぶりとなり、人間国宝になってから初のリリースとなる。
現在は、6月に発売した第1集を筆頭に第4集までが発売されており、11月に発売予定の第6集で完結する。
【商品概要】
■人間国宝柳家小三治令和の新シリーズ、6ヶ月連続発売中!!■
朝日名人会ライヴシリーズ 柳家小三治1~6
写真:横井洋司 解説:京須偕充 仕様:CD2枚組 価格:各¥3,333+税
発売:株式会社ソニー・ミュージックダイレクト 来福レーベル
■6/26発売
朝日名人会シリーズ131 柳家小三治1 MHCL 2807~8
猫の皿/長短 2007年7月21日 第71回/2008年7月19日 第81回
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■7/24発売
朝日名人会シリーズ132 柳家小三治2 MHCL 2809~10
青菜/鰻の幇間 2011年6月18日 第110回/2001年6月23日 第18回
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■8/21発売
朝日名人会シリーズ133 柳家小三治3 MHCL 2811~12
付き馬/二番煎じ 2000年12月16日 第14回/1999年12月11日 第6回
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■9/25発売
朝日名人会シリーズ134 柳家小三治4 MHCL 2813~14
厩火事/品川心中 2010年10月16日 第103回/2010年3月20日 第97回
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■10/30発売
朝日名人会シリーズ135 柳家小三治5 MHCL 2815~16
ま・く・ら「あの人とっても困るのよ」 2002年7月14日 第27回朝日名人会
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柳家小三治特設HP:http://www.110107.com/kosanji_6ren