柳家権太楼による、圓朝の古典落語「心眼(しんがん)」の一部始終を撮影した、写真集「柳家権太楼 心眼」発売。


柳家権太楼による、圓朝の古典落語「心眼(しんがん)」の一部始終を撮影した、写真集「柳家権太楼 心眼」が2020年3月20日に、平凡社より刊行された。

これは人気写真家・大森克己が、古典落語の大名人・柳家権太楼の口演「心眼」の一部始終を写し取った写真集で、大森克己の発案に柳家権太楼が賛同して実現した。

近代落語の祖とされる、初代三遊亭圓朝(1830-1900)が、実弟の三味線弾きの音曲師・三遊亭圓丸(生没年不詳)の実体験を元に創作した、古典落語の名作「心眼」。

見えること/見えないことをめぐる、スリリングで極めて現代的な「問い」を含む「心眼」は、八代目桂文楽による口演が有名だが、テレビなどではまずかからない。

この噺をめぐる柳家権太楼と大森克己のコラボレーションは、要注目です。


プレス資料のコメントより

◆柳家権太楼
私はこの噺、何気なくずっと稽古していたんです。それがあるとき、ふとやる気になった。放送もできない噺、でもこの噺で言いたいところはその差別的表現じゃない。むしろ逆のところにあるような気がする。だから「それでもあえて聞いてくれよ!」という気持ちが強くなったんだろうな。……「目が見えている」とは一体どういう意味なのだろうか? 私がこの噺を終えて頭を下げる。お客さんには、そのあと家に帰るまで、そのことを一度考えてほしい。そういう風に考えるきっかけを差し出すことが、私にとってのこの噺のテーゼかなと思います。目が見えないことだけでない、言葉をはなせない方、耳のきこえない方、体の不自由な方、「障がい」と呼ばれるものがたくさんあるじゃない。でも果たしてそれって本当に「障がい」なのかな、とね。

◆大森克己
誰も観客のいない白いホリゾントに座布団を置き、ライティングをして権太楼師匠にそこに座っていただいて『心眼』を初めから終わりまで、ボクがその一部始終を写真撮影するというためだけに落語をやっていただけますか? とお願いしたのが2017年の夏の終わり。板橋の蕎麦屋で撮影の趣旨を説明したところ、間髪入れず快諾していただけたのだが、楽しそうな顔をして師匠は仰った。「やるよ。オレは落語をやるだけだから。大森さんはそれをどうにでも撮って下さい。どうなるかわからないけど、出来上がるものは……きっとそりゃ、落語じゃねえな」。その言葉を聴いてボクはうれしくなった。


【商品概要】

写真集「柳家権太楼 心眼」

私たちは、何をみているのか?

初代・三遊亭圓朝が生み出した、古典落語の名作『心眼』。あんま師・梅喜の薬師様への願掛けの思いが叶って、目が見えるようになると……。
古典落語の名人・柳家権太楼の口演を写真家・大森克己が、その一部始終を撮影。
見えること/見えないことをめぐる、「落語」と「写真」のスリリングな格闘――。

■出版社:平凡社
■著者:柳家権太楼、大森克己
■英文併記
■判型・ページ数:A4判・並製 116 ページ
■定価:3900円+税
■刊行時期: 2020年3月20日、全国の書店にて発売

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