【レポート】2016/4/6 三K辰文舎/落語&ライヴ(第12回)@文京シビック小ホール


三K辰文舎/落語&ライヴ(第12回)@文京シビック小ホールへ

橘家文左衛門/入船亭扇辰/柳家小せんの3人のバンド“三K辰文舎”(サンケイシンブンシャ)
このLive・・・でありその前にそれぞれが落語を1席づつ。
まぁなんせ3人がお客さんと一緒に楽しんでるのがいい。
そんな“ファン感謝デー”
それでいて落語のことを書いて飯のタネにしてるような評論家の方々はまったく来ない会。
世の中変わってきてて、落語を落語だけで語ってても、多分“落語家自身”“語られる噺”“客の受け取り”の三位一体の本質の、まあ恐らく30%ほども捉えられなくなってきてると思う。
だからって訳じゃないが、所詮演芸だしされど落語だしってとこでのいろんな発露をなんらか接しとく、ぐらいで。
まあ普通に聴いてても半分ぐらいは寝てるケースも多いんで…

演目は
入船亭扇辰「紋三郎稲荷」
橘家文左衛門「目薬」
柳家小せん「崇徳院」
仲入り
三K辰文舎Live

この日は小せんさんがトリ。
まずは扇辰さんが上がって“道楽の会にようこそ”
“こういう会に来るのが、本当の演芸ファンです”
濃い目のお客さんなんで持ち上げてから、
“私が前座の入船亭扇辰です”から携帯を切ってくれと説明するのが揮ってる。
“いやいや今は切らなくてもいいんです。なんだったらお話し頂いても構いません。お願いは仲入りのあとです”
なんだかんだでミディアムに「紋三郎稲荷」
この噺、個人的には結構好きですが、最近あんまりお目にかからない。
この日何の気なし昼に“きつねそば”に、なんか足んないなぁと無意識に“いなり寿司”食っちゃって、あとで気付いて“ああ~”と。
そういう時はツクもんだなぁってとこで、まぁいい歳こいて“若気のいなり”
茶目っ気がオサレな一席。

ちょっとフワフワな会。
決定打は文左衛門の高座にて
いい感じで力が抜けてるんだが、本人は“いやもうリハでくたくたで…”
“だってあの二人、細かく止めるんだもん!”
から“そば~”と「時そば」に入りかけて
“あれ、俺今日これ演るんだっけ??”
袖へ“ちょっとネタ帳持ってきて!”弟子のかな文がネタ帳を持ってきてさらに
“あ!ハカマ持って来たんだ!?”
“「目薬」だよなぁ~、まっわざわざハカマ履いて演る噺じゃぁないですけどね”
高座でかな文に手伝ってもらってハカマ履いてからの「目薬」
まあこの演目は安定の“ハズさない定番メニュー”
文盲の夫婦(カナは読める)が、薬の注意書きを読むとこがツボ。
ここで夫婦ふたりともボケなのが愛らしい。

小せんさんは前のふたりに散々煽られてましたが“人情噺は演りません”から「崇徳院」へ。
どんな噺でも小せんさんならではの“軽さ”がある。
小せんってぐらいだから、タバコ風に言えば0.001mmかっていうと、もっと2mmぐらいの感じだが、この“小せんライト”が、ちょっと欲しかったな/ああ来たなってのが嬉しい。
すごい軽く見せて(「鷺取り」のような演目)も、「死神」のような演目でも比重的には同じような軽さなのが面白い。
「崇徳院」もそれが定番的に嵌ります。
まあでも噺の中で“せをはやみ~”と探しに出てる段では、別の意味で全体的に気持ちはLiveへ。

普通の会なら柔道団体戦的に軽量/中量/重量級の並びですが、春でご陽気に。

中入り後のLiveはふんわり楽しむ感じで。
毎回“初めて観る”って人が半数ぐらい?いる。
そこから三K辰文舎のネーミング由来へ。
“辰は扇辰の辰。文は文左衛門の文。問題は舎ですよ!小せんさんは結成当時二つ目と言う落語界の卑しい身分で…”
小せんさんが鈴々舎わかば時代の結成。
さらに三Kの説明。
“人に言わせたら”へぇそれぞれの芸風?“って言われてね。軽い(小せん)/くさい(扇辰)/恐い・強い(文左衛門)だって…”
“…そしたらねぇ、皆本名がね、頭文字がKで”
小せんさんは、河野(こうの)、扇辰さんは川越(かわごえ)
“(扇辰さんから文左衛門に)それであなたは?”
“ショーンKです!”
毎度鉄板お約束。
確か前回ぐらいは“ケイ・ウンスクです!”
そう言っといて
“で本当は?”
“キヨハラです”

まあこの日のハイライトはアンコール2曲目「忘れていいの」(谷村新司/小川知子)でしょう。
歌い終え気味に袖から、文左衛門さんの弟子のかな文が突然登場。
谷村新司役で、小川知子役の文左衛門に…まあこれに全部持って行かれましたね。
「忘れていいの~愛の幕切れ~」

ピアノから振り返った扇辰さんが、余韻のふたりに
“おい!バカ師弟!”
“別れたカミさん思い出してるんじゃないよ!”
(あ~あ、言っちゃった…)

パートは、
柳家小せん“魅惑のリードギター”
入船亭扇辰“ギター&ピアノ”
橘家文左衛門“ギター、リズムセクション”
これがガバガバのピョロロロはじめ、噺での扇辰さんの擬音マジックばりのリズムセクション

文左衛門師匠が今秋に三代目橘家文蔵襲名があるので、三K辰文舎としては当面次の6月@虎丸座(江の島)まで。
“活動休止?”(文左衛門)
“解散だよ!”(扇辰)
“音楽性の違いで?”(小せん)
“そんなもん元々違うだろ”(文左衛門)

TEXT:凡梅@STREET-WISE