【鑑賞レポート】2017/4/17 “人形町成金(柳亭小痴楽/桂宮治/春風亭昇也/ゲストw:古今亭文菊)”@日本橋社会教育会館


人形町成金(柳亭小痴楽/桂宮治/春風亭昇也/ゲストw:古今亭文菊)@日本橋社会教育会館(人形町)へ

落語ブーム(若い女性が寄席にたくさん来てる?)を支える芸協二つ目のユニット・成金の人形町の会。
毎月演者を変えて1回づつ。
この日は204席の“人形町社教”で50-60%の入り。
まぁニュース・天気予報で散々“今晩は、春の嵐です。火急の用事が無い方は帰りましょう”と飲食店はじめ営業妨害的な喧伝もあってか…
しかし、それにしてもシブラクなんかでの成金人気とは若干温度差がある。
やっぱりブームは、東京ウェストサイドのもんか??
でも1回1回でイチイチなほどではない。
この日もモギリ&チラシ配りで出番のない瀧川鯉八が来てたが、“積み重ね”の一つ。
段々大きな貝塚になんでしょ。
成金を穴場的に観るなら@人形町

演目は、
春風亭昇市「桃太郎」
柳亭小痴楽「のめる」
古今亭文菊「権助提灯」
仲入り
座談/宮治、昇也&ゲスト・古今亭文菊
春風亭昇也「胴斬り」
桂宮治「狸賽」

昇市は、昇太師匠んとこの7番弟子。
「桃太郎」春先によく聴く。

小痴楽は、シブラクの20時の上りとダブルブッキング。
マクラはドS気味に…だが
“文菊師匠との座談に出れない…散々、悪口言われるでしょうけど”
19時15分に上がって、それでも19時40分の下りぐらい、間に合うのか?
軽快に「のめる」
下町のアホな仲間の感じ、悪だくみしての“してやったり”“してやられたり”
この辺の雰囲気は確かにクッと掴みます。
成金ファン、小痴楽ファン、それなりに来てて、そこが欲する笑いに応えて。

毎回ゲストを招くらしく、今回は文菊さん。
マクラは、浅田真央の引退(はかない)→羽生結弦は自信が漲り過ぎて気に入らない(好かんねぇ~)から、
やきもち→悋気と回して、スッと「権助提灯」
ついこの間、なんかTVで文菊「権助提灯」は観たような…
勿論、ほとんど変わらず、しかし容れ事なんかほとんどないんだけど、佇まいと相俟ってやおら可笑しい。

仲入り後、3人で座談会。
まずはウォーミングアップで、この場にいない小痴楽いじり
そして文菊を迎え入れて、
昇也が、ヨイショもしつつ“文菊ファン”だと持ち上げて、高座への入りの姿や、モノ真似も入れる。
まるで江戸から、落語の登場人物が抜け出たようだ、と。
“兄さん、あいつ完全にバカにしてますよ!”と宮治が混ぜっ返す。
文菊のこの仕上がり感に昇也&宮治がツッコミつつ、まだ文菊が38歳(ちなみに宮治は41歳で二つ目だが年齢は文菊より上)となって会場がざわつく。
まあ成金のノリ、シブラク系のノリで会場温める。
昇也のマニアックな文菊のモノマネ、宮治の文菊との“飲み”のエピソード
そんなとこで。

昇也は珍しいとこで「胴斬り」
マクラは座談の余韻。
刀の試し切りで、上半身と下半身が別々になった男の顛末。
毎度聴いてもおかしな不条理な噺。
現代感覚で辻褄の合わない噺は、個人的には意外に好きな方、ちょっと客は勢いで笑い過ぎてたかな。

トリは宮治。
先々週に兼好さんと二人会@深川以来。
そん時に“宮治は成金メンバーじゃない”と思ったが、メンバーなんですね。
持ち時間10分強になっちゃったが、マクラもサービス心旺盛に笑わせてサクッと「狸賽」
顔芸→アクション芸
そんな巻いた感じも無く、笑って客を帰そうと。

落語全体の圧、というより熱
演者のキャラ、勢いの染み込みが90%
そのギラギラなとこが二つ目が並ぶ会の良さ。
アジフライとから揚げとカキフライを食べるようなもん。たまには欲しい。
そんな中で文菊の“仕上がり”は、落語を通した幅の持つ雰囲気も含めてプレゼンスがある。

ちょっと客は勢いで笑い過ぎたかな…
やっぱり掴みで笑いも欲しいし、そこの勢いで落語を通したい。
いつもの社教の落語会の感じではないが、まあこれはこれ。
構成的には、「笑い」>「落語」
出たら土砂降りの人形町。
すじ煮込みとお好みでも食って帰ろうと。

TEXT:凡梅@STREET-WISE