落語は、もっと自由でいい–蝶花楼桃花×アンジェリーナ1/3が語る、落語の魅力と新しい入口

2026年8月21日(金)、浅草花劇場で「アンジェリーナ1/3コトダマ”其の一”」というイベントが行われた。これはGacharic Spinという6人組バンドのマイクパフォーマーであり、ソロプロジェクト 「ailly」での活動や、第63回ギャラクシー賞でDJパーソナリティ賞を受賞するという快挙を成し遂げ令和のラジオスターとしての活動で評価を上げているアンジェリーナ1/3が立ち上げたもので、昼の部に蝶花楼桃花、夜の部に柳亭小痴楽を迎えた音楽と落語を融合させた異種格闘技戦。音楽と、ゲストとして招聘された両師の落語を同時に楽しめるだけでなく、普段から落語愛を公言するアンジェリーナ1/3が両師から教わった落語を、それも2席もネタ下ろしをするという非常にチャレンジングなもので、昼の部に「権助提灯」、夜の部に「強情灸」を無事にネタ下ろしし、その後に9曲のバンドセットのライブもやりきるという非常に内容の濃いものとなった。

アンジェリーナ1/3は2025年に「文化放送大落語会」という会で落語を初披露しており、その時にも落語を指南したのが蝶花楼桃花だ。それ以来、「桃花姉さん」「アンジー」と呼び合い、プライベートでも仲がいいというこの2人の対談を当サイトのリニューアルというタイミングにセッティングした。いろいろな落語のトピックが注目を浴び、落語人気も高まる一方で、若い世代には落語のハードルは高いと感じる人も少なくない。落語家生活20周年を迎える蝶花楼桃花と、音楽やラジオの現場から落語愛を発信するアンジェリーナ1/3。演者と聴き手の双方の視点から、声だけで人を惹きつける話芸の力と、これからの落語のあり方などを、熱く、濃く語り合ってもらったロング対談のまずは前編を。

取材・文章:加藤貴朗

—まずは、お疲れ様でした。先日はすごいイベントを拝見させていただきました。そのイベントが終わって、いかがですか?

アンジー:本当に楽しいひと時でした。終わった後にすぐに、桃花姉さんと2部に出てくださった柳亭小痴楽さん、あと浅草演芸ホールの出番終わりに来てくださった春風亭昇也さんとで反省会をやりまして。

桃花:まずはダメ出しからだって言ってね(笑)。

アンジー:「ここはこうした方がよかった」とか、「ここの言い回しがやっぱちょっと違かった」とかっていうことを本当にすぐに言っていただけたのもあって、「うわ、もう1回早く挑戦したい!」みたいな気持ちがすごく高まりました。その後もすぐ桃花姉さんとご飯も行かせていただいたんですけど、2人でもずっとノンストップで、落語の話をしてましたし。

桃花:もう落語家だよね(笑)。

アンジー:「今後どうしたいの、落語をやった身として?」とか聞かれて、もう本当に2、3時間ぐらいノンストップでずっとお話をさせてもらった感じでした。とにかく自分がすごく落語が大好きで、こういう風にご縁が繋がって大好きな落語家さんに噺をつけていただいてっていう、本当に幸せでしかない空間を作れたので、とてもうれしくて。

私は、ほんとに日頃からたくさんの愛を落語家さんたちにいただいてるんですよ。教えていただいてることもたくさんあるんです。落語っていう部分以外にも、「人としてどうやって立ち回るべきか」とか、「何が粋なのか」みたいなことも背中で語ってくださるので、それを少しでも恩返しできる方法って言ったら、落語の畑ではない私が「落語ってやっぱり面白いから寄席行こうよ」っていう、そんな状況を少しでも作れたらっていうのはすごく思ってます。

浅草花劇場「アンジェリーナ1/3コトダマ”其の一”」

—なるほど。そもそもこの挑戦を最初に聞いて桃花さんはどう思われましたか?

桃花:最初の一席のネタ下ろししてる姿を見てたので、この企画を聞いたときに、やっぱりもう1席行くかと思ったんだけど、その後に昼夜で2席ネタ下ろしてしますって聞いて、「お前すごいことするな、おいおいおいおい」って(笑)。もう、めちゃくちゃ驚いて。でもアンジーならやるなっていう感じがありました。それは驚きますし、やりきったことも驚きなんですけど、実際、本当にちゃんと素晴らしいクオリティでやってるので、すごいなと思いながらも、できないという風には思わなかったですね。

—安心感を持っていたということだと思いますが、やっぱそれはもうアーティストとして、ラジオスターとして実績があるというところから大丈夫だろうと思ったってことなんですか?それとも普段接する際にアンジーさんの落語愛は本物だみたいなことを思ったのでしょうか?

桃花:もちろんそういうことも思ってます。でも、去年の初高座の時は、ちょっと私、震えてたんですよ。稽古で100回うまくいっても、お客様の前で喋るって相当大変なんですよ。1人で座布団座って喋るっていうのがどれだけ怖いことかはわかってるので、これだけできるアンジーだけど、なんか緊張でパンって話が飛んじゃったりとかはあると思ってたんですよ。だから、「高座は魔物だから、何があるかわかんないからね」って言いながら、私がもうブルブルって震えてて。アンジーはこんなに落語好きでいてくれるのに、失敗してちょっと嫌になっちゃったりとか、そういう風になっちゃったら嫌だから、「落語の神様、お願い」って思ってた。ほんとに、それぐらいすごい怖かったんですけど、そうしたら、もうね、びっくりしますよ。アドリブとか入れてんですよ、この人。

アンジー:(笑)。

桃花:こんなに震えてる私を尻目に、追加のセリフとか入れて大爆笑とってて、もう、途中から腰が抜けちゃうみたいな、力抜けちゃうみたいな感じで。その経験をした後だったんで、どうせコイツやってくんだろうなってね、感じで、はい(笑)。

—見えてた、みたいな感じですね。

桃花:稽古での追い込み方とか見てても、1番最初に噺が入ってない段階から、「ここまで仕上げてきたか!」っていう状態までの速度がすごいんですよ。で、本番にものすごい強いこともわかってるし、もうアンジーとお付き合いをさせていただいて、いろんな強さを見せてもらってるんで、全然大丈夫だとは思いました。

アンジー:嬉しい。そう、私は1回目は自分でも初めてにしては本当に楽しくやれたっていう感触もあってよかったんですが、1回目だからビギナーズラックもあるじゃないですか。楽しめることが大事ってことをすごく言ってくださったから、なんかその1発目の波動でできたことはあるかもしれないけど、2発目、3発目ってなってくると、やっぱりちゃんとやっていかないと面白さも更新されていかないし、小手先でできなくなってくるっていうか。やっぱり知れば知るほど、稽古つけていただけばいただくほど「大丈夫かな?」みたいな気持ちはすごいあったんですけど、姉さんがもう毎回、「いや、大丈夫だよ。そんなこと言ってできるから」みたいに言って下さって。前回は「アンジーが絶句したら私が出てあげるから大丈夫だよ」って言ってくれて、それもすごい力になったんですが、1番近くで見てくださっている師匠が、「あんたはできる」って言ってくれたことが何よりも力になったし、こんな風に言っていただけてるんだから、私やんなきゃいけないんだっていう気持ちにもなれました。本当に姉さんのおかげです、全部 。

—そもそも、アンジーさんは落語とどのように出会ったんですか?

アンジー:落語との出会いは、元々、講談師の神田伯山さんからです。私は、全然古典芸能とか見たことも触れたこともない状態だったんですけど、自分が19歳の時にやってたラジオでいろんな表現に触れたいから、「私が知らない表現で、おすすめがあったら教えてください」って、リスナーさんに聞いたところ、「講談師の神田伯山さんの講釈がすごいから、とにかく触れてみてほしい」っていうメールが来て。伯山さんは当時からすごい人気だったのでチケットも取れないみたいなことがあったんですが、せっかくのお便りだったからちょっとでも見たいなって思って、色々検索してたら、YouTubeの神田伯山ティービィーで中村仲蔵を見る機会があって。で、そこから「うわっ古典芸能ヤバっ」みたいな。で、これ絶対生で見たいって思って、伯山さんがトリの芝居の新宿末広亭に足を運びました。

その時、それこそ浪曲だったりとか落語など、いろんなものに初めて触れる経験をしました。そこで古典芸能になんで触れてこなかったんだろうって思って、面白くて涙流しながら笑って。しかも、あまり好きじゃないなって思う自分の側面とかも、落語を聞くと面白おかしく話してくれるから、自分がもし苦手な人がいてもこういう風な人なんだって思えばなんかちょっと救われるなとか、自分の嫌な側面とかも笑えるなって思った時に、「うわ、めちゃくちゃ素敵な芸じゃん」と思えたんです。そこからその日寄席に出てらっしゃった方の独演会行ったりとか、二人会行ったり、あと寄席にも通いつつ、どんどんのめり込んでいってっていう感じでした。

桃花:なんか、この年でねぇ。1発目から見たものが良かったんだなって思う。そうじゃなかったら、なんじゃこりゃってなって遠ざかっちゃう人も多いだろうし。こんなにハマる方って、ちょっとなかなかいない気がする。それも若い方がね、珍しいよね。最初から面白かったんだ?

アンジー:面白かったです。

桃花:その人がどうこうということじゃなくて、ちょっと自分と合わない人に当たっちゃうと、落語ってつまんないものだって思っちゃうしね。それがすごい成功した感じかもしれないね。

アンジー:入口が講談から入ってるっていうのも、あるんですかね。講談って落語と比べて、笑い所というよりは武勇伝を語る芸じゃないですけど、かっちりとしたお話を初めに伯山さんで聞いて、でも、かっちりとしてる中でも笑いどころがあるっていうところから入ってってるんで。落語を聞いた時に、こんなガンガン笑えるんだみたいなところと違いがあるからこそ素晴らしさみたいなのも感じられて。

—そしてそこから、どのようにじゃあ自分でやろうとなったんでしょうか?

アンジー:そうですね。だいぶ調子乗りましたね(笑)。私のバンドでの立ち位置がマイクパフォーマーといって、マイクを使ってパフォーマンスをするっていう立ち位置でいたのもあります。ミュージシャンだけど、歌うだけじゃなくて、ラジオパーソナリティやったりとかっていうのも当時からしてた中で、古典芸能を見た時に、これって自分のバンドにも生きてくる表現だってすごく思ったんです。もちろんそこからすぐやろうとは思わなかったんですけど、伯山さんからのきっかけがあって、桃花さんとも乾杯させていただく機会があったりとか、いろんな落語家さんと話していく中で、「それだけ好きならやってみればいいじゃん」って皆さんが言ってくださったんですよ。「いやいやそんなことは‥」なんて言ってたんですけど、「やってみたい」みたいな気持ちもあって。でも自分からはなかなか言えない。すごい助けられてるんです、落語というものに。なので、「自分がやるなんて」っていう風に思ってたんですけど、「音楽にも生きてきそうじゃない」と皆さんが言ってくださって、皆さんがそう言ってくださるんだったらやりたいって思って。で、桃花姉さんともラジオから縁がどんどん繋がっていったのもあったので、「桃花姉さん、お話つけてもらえませんか」って私からお願いをしました。

桃花:文化放送でね、その当時番組を持ってたっていう繋がりがあって「文化放送大落語会」というのをやりました。

アンジー:噺家さんで文化放送でお声を届けてる方も多いし、文化放送きっかけで桃花姉さんとご挨拶できたし、なんだったら二人会やってみたらっていう風にスタッフさんが言ってくださって。「本当にいいんですか!桃花姉さんに教わりたいです」って言って、お願いしました。

桃花:オッケーオッケーっていう感じでね(笑)。 で、いろんなタイプの噺を5席ぐらい持って行って、アンジーの前で、これとこれとこれって感じでやってね。

アンジー:そうそう!‥‥ってできるか!ってね(笑)

桃花:最初のネタって大切だなと思って。提案した中から「動物園」っていうネタをアンジーが選んでくれたんですけどね、あれ、よかったよね。

アンジー:うん、すごくよかった。桃花姉さんと二人会やった後に、私、謎に大阪の繁昌亭でもやりましたからね(笑)。

桃花:この人、なんか繁昌亭に上がってるなっておもったよ、びっくりしたわ(笑)。普通上がれないですからね。

—アンジーさんが落語を教えてくれと言いに来られた時、最初はやっぱり驚くっていうような反応でしたか?そんなこともすごく自然な流れでしたか?

桃花:やっと来たか、ぐらいの感じでした。いつかやるでしょとは思ってたというか。来たかこの時が、みたいな。だから自然でした。じゃあ何のネタにしようかなって、すぐに考えてたって感じですかね。

「自分の歌を愛してくれてる人にも”この表現の中に血が流れてるのは落語あってだよ”っていうことを伝えたい」

—それで、初高座があって大成功します。その成功を受けてっていうのもあるとは思うんですけど、今伺ったお話しでは、その初高座はスタッフの方の提案じゃないですか。その上で今回のこの「コトダマ其の一」というイベントを思いついて、立ち上げたきっかけを教えてください。

アンジー:一席つけていただいた時に、桃花姉さんと定期的に落語会をやりたいっていうことをもう思っていました。大変おこがましい話なんですけど。でも、そこからやっぱりね、桃花姉さんもお忙しいですし、なんか私も私で色々やることがあってみたいな中で、そんなすぐになんかやるのも違うなって。

でも、もっと音楽と落語がすごく親和性が高いものっていうのを私のお客さんにも知ってもらいたいとすごく思っていました。「動物園」をつけていただいた後から、歌を歌ってもすごい表現の仕方が変わって、歌い方も変わったんですよ。なので、自分の表現とか、自分の歌を愛してくれてる人にも、「この表現の中に血が流れてるのは落語あってだよ」っていうことを伝えたいって思いました。

なかなか自分のやりたいことだけをやるのは難しんですが、ソロプロジェクトが始まった時に、自分の好きなことを全部挑戦しようって思ったんです。そのやりたいこととして、まず絶対に桃花姉さんを呼んで、私の音楽のライブと落語を一緒に、同じ日に同じお客さんで見られるような空間を作りたいと思いました。

早い段階から、スタッフとも、落語と音楽とっていうイベントをやりたいから、どっちもできる箱をおさえたいって話をして。やっぱり音楽だけに特化してるところだとスタンディングが多いのでちゃんと座席もあって見やすいところで、高座もきちんと組めて、落語をやってもしっかり良さが伝わるような会場でっていうのを何回も打ち合わせをしました。で、ある程度固まってきた時に、改めて桃花姉さんに、ご一緒したいことと、同時に自分の音楽も届けたいということをお願いしました。あとやっぱり今、落語があって毎日自分はすごく助けられているので、その気持ちを伝えました。覚えたいって気持ちもあるので、お噺も教えてくださいって言いました。

桃花:私、最初の時もそうだったんですけど、1番最初が私の落語でいいのかなって思いました。他にいろんな師匠と繋がってるから、例えば、文化放送で言うとたい平師匠とか。で、たい平師匠とかにも相談したりもしたんですが、結局、私が女性っていうのもあるし、やらせていただくことになりました。2回目をお願いしてくれた時に、めっちゃ気持ちは嬉しいんですよ。ただ、これだけいろんな人とお付き合いがあるんだから、もっといろんな人の所に行きなって言ったんだよね。でも、「姉さんがいい」みたいなことを言ってくれて。こっちも嬉しくって、じゃあそう言ってくれるんならっていう感じでやらせてもらいました。

—噺家として、嬉しい話ですよね?

桃花:私は、嬉しい。教えてくれって言いに来るってこともそうだし、そうやって落語を音楽に絡めて広めようとしてくれてるっていう、その動きもそうだし、 何に1つも問題ないと私は思ってます。

人生をどう歩んできたかによって、結構解釈が違うのが落語の面白さだと思う

—すごい入口を作ってくれているって思うんですけど、今日のこの話の核心に近いところでもありますが、今、落語愛をお伺いしました。で、あっという間に落語に染まっていく様を聞きました。かといえども、落語に触れてもアンジーさんのように好きにならない人もいるし、そもそもまだ出会ってない人も沢山います。例えばアンジーさんのイベントもそうだし、例えば「あかね噺」とか、いろんな落語に関してのトピックがある中でそもそも落語に出会ってない人がこんなにもいっぱいいるっていうのは、どういうことなんだろうと、常々思うんです。これは、落語の入口が少ないからっていうことを言われる方も多い。これは20代のアンジーさんから見てどうなのかをお伺いしたいんです。落語の入り口って少ないですか?

アンジー:少ないというより、ちょっとハードルが高く感じてしまう人が多いんじゃないかなって思います。

じゃあどこから落語を聞いたらいいのか、誰から見たらいいのかっていうことで言うと、もちろんすごく素敵な芸をされる師匠方もいっぱいいる中で、私の落語の見方、聞き方っていうのは、お話を聞きに行くのはもちろんですが、その人を見に行く感覚の方が近いんですよね。だから、その人が好きじゃないと、結局面白く感じないんですよ。私は伯山さんの芝居で、伯山さんが組んだお芝居の芸人さんなら絶対好きだろうっていう安心感があるところから見られたのはやっぱりすごく大きいと思います。

あと、噺家さん自身と自分がどこかリンクするところとか、人として素敵だなとか、共通点があったり好きなところがあったりすると落語だけではなくて色々なエンタメにおいても取り残されている感じが無いと思うんです。音楽も、曲が好きだから聞くという受け取り方だけじゃなく、多分その人が生み出してる空間だったり、物が好きだから聞こうとするっていう気持ちもあると思うんです。この相性が合うか合わないかっていうのって、すごく難しいことだなっていうのは思いますが、私はほんとに伯山さんキッカケで、ものすごく相性が合う人たちと出会ったっていうことが基盤にあるから、いろんなお話を聞いた時にも、この人の話だから面白いなって入れたっていうところはあると思うんです。
だから、出会い方がどういう風になるかで、落語っていうものの捉え方が変わるのではないかと。私は本当にただの落語好きの1人ってだけなんですけど、私のことが好きで私の音楽を受け取ってくれてる人には、私がやってることに多分楽しみを見出してくれる人がいるんじゃないかと思うんです。だから、「落語に挑戦してみよう」っていう気持ちもありました。若い子たちの感覚で言えば、推しを作るじゃないですけど、そういうことがハードルが高くなくできると、落語って触れた時に感動する人たちの方が圧倒的に多い芸だと思うので、そういうことを届けていきたいなって気持ちは、私には勝手ながらあるんです。

落語が好きなミュージシャンの方とか、アイドルの方とかも沢山いらっしゃるんで、その人たちがもっと好きって言うだけでも、全然違う層が急に入ってきたりとかもすると思うんです。でもそれは音楽も一緒で、やっぱり桃花姉さんとご一緒させてもらった時にも、桃花姉さんのファンの方も桃花姉さんのフィルターを通してアンジーっていう存在がいるんだよってことをファンの方に言ってくれるから、桃花姉さんのことを好きな方たちが音楽の方にも来てくれたりするので、そのいただいたものを返し合うじゃないけど、そういう関係性で発信できたらもっと間口が広くなるし、そんなにハードルが高いものじゃないって思うのになって思います。

桃花:本当に言う通りで、どうしていったらいいんだろうね。やっぱり、落語はハードルが高いっていうものじゃないんだよって伝えるのが難しいんだよね。来てもらえればすぐにわかってもらえるのに。来ていただくまでがものすごい課題だからね。

アンジー:でも、それは音楽も同じで。だから、なんか逆に本当にすごい。こうやってご一緒させてもらうことで、桃花姉さんのファンの方もライブにすごい来てくださったりとかもしてて。

桃花:そうそう。みんなアンジー大好きだ(笑)。

アンジー:こちらもですよ、もうみんな桃花姉さんのこと大好きだから、なんかね、異種格闘技じゃないですけど、違う分野だからこそ広げられるっていうことが絶対にあるんで。自分たちだけだとなかなか難しいなって、それは自分も音楽やっててすごく思うんですよ。なので、2人会じゃないですけど、今回のイベントみたいにご一緒することで生まれる出会いも絶対にあって大事にしたいなっていうのは、すごく思いましたね。 でも、どうですか。寄席のお客さんとか、ちょっと若い世代が入ってきたりとかっていうのあるんですか?

桃花:何かのコンテンツがはねた時、例えば「昭和元禄落語心中」が盛り上がった時は、やっぱりそのお客さんたちがワッとは来るんだけど、やっぱりある程度の期間の一過性のものという感じがすることが多いんです。もちろん、その中からね、残ってくださった方ももちろんいると思うんだけれども。だから、なんか落語ブームって言われるんだけど、中にいる人間としては「そんなの来てた?」みたいな、ね。確かに一時は増えたよねっていう感じでも、定着っていうことまではいけてない気がするんですよね。もちろん一過性だってありがたいことですし、尊いことなんだけど。だから、落語人口を増やす方法っていうのは、そういうことをたくさんやって、少しでも増やしていくしかないんだよなって、結局そういう風にね、ぐるぐる回っちゃうんですけどね。

アンジー:逆に、上の世代の人たちも、割と新しく入ってくるお客さんもいっぱいいるじゃないですか。なんでこの上の世代の人たちには落語ってものが、若い子たちより比べてものすごく刺さるんですかね?

桃花:私ね、それね、考えたことがあるんだけど。アンジーは伯山さんと出会ったのいくつぐらい?

アンジー:19歳ですね。

桃花:でしょ。その時、私なんか鼻ほじってたみたいなぐらいのね(笑)。本当に、全然そんなものわかんなかったから。でも、年配になって経験値が増えると刺さるっていう芸能ではあると思うの。だから、今まで聞いたことなかったけど、触れて見たらすぐに楽しいって思えるのって結構年配になってからなのよ、きっと。ある程度の年になってからだと、人間の悪いところとかを全部肯定してくれるような世界観に没頭してもらえるんだと思うのね。若い方っていうのはまだその経験値がないから、そこまでリンクしないっていう感じかな。だから、若い人たちに響く何かをやっぱりやっていくべきで、それで、だんだん成長していくっていうか、落語と一緒に人生を歩んでいただいた時にもっと理解が深くなっていくっていうか。だから、そういう若い方にポップにというか、興味をぐっと持ってもらえる何かっていうのが必要なんじゃないかな。やっぱり落語というのは上の世代に刺さるものなんじゃないかなっていうのは最近思ってる。だから私自身、どんどん落語が好きになってるし。

アンジー:でも、私もその感覚は聞き手としてすごいあると思います。やっぱ理解が追いついてくるともっと面白い。

桃花:頭がいいからね、アンジーはね。感覚が鋭いからっていうのはあるけど、そういう風に深まってくれてるのがわかるんですよ。それは嬉しいし、やっぱり落語ってそうやって楽しんでもらうものじゃない​?だからね、これを広く伝えたいんですよね。

アンジー:ほんとにそう思います。聞けば聞くほど、10代の時に聞いてた同じ演目でも感じ方が変わってくるというか。で、今回それこそ挑戦させてもらった「権助提灯」は、一切自分の経験にないことだったので、これがまた大人になればなるほど理解が深まるんじゃないかと。いや、ちょっとあまりその、理解もしたくない気持ちもあるんですよ、妾との三角関係だから(笑)。でも、これが周りの人たちの経験や話を聞かせてもらってとかっていうことからも、どんどん深まってくだろうし。

今回「権助提灯」をやらせてもらった時も、上の世代の方たちにこれってどういう心境なのかなっていうことをすごいいっぱい聞いたんですよ。そうしたら、私は絶対言えないみたいなことを皆すごい言ってて、いろんな方たちから、いや、それはね、意地を張ってるんだよとか色々言ってもらったけど、これが多分年齢を重ねてくと、同世代でそういうことになったりもするじゃないですか。

桃花:あの子がこうだったみたいなね。

アンジー:それはめっちゃ面白いですよね。自分が経験してなくても、おのずと周りの年齢と合わせて、この噺が自分にフィットしていくっていうことを想像すると。なんか年齢を重ねた上で聞く「権助提灯」とか、もちろん自分が演じる「権助提灯」も変わってくるのかなと思ったら、すごいワクワクしますよね。

桃花:でもね、私の解釈としては、本妻と妾の立場っていうかさ、お互いがバチバチやっている中で旦那が翻弄されるっていう話だと思ってたんだけど、なんか噺家の中でも「あれは本当に旦那のことを思ってああいう風にやってるから、ああいう悲劇になっちゃっただけ」っていう解釈の人もいるんですよ。私はそんな解釈は全くしていなかったので、そんな訳ないと思ってたんだよね。でも、そういう方もいらっしゃるから、やっぱり人生をどう歩んできたかによって、結構解釈が違うのが落語の面白さだと思う。

アンジー:噺家さんによって全然違うのが楽しいんですよね 。

桃花:そうそう。そういう風な解釈で演じることもあるんだってびっくりして。でも、その方のその噺もきちんと成立して面白いわけですから。なんかやっぱり落語ってすごいんですよ、そういう意味では。

(後編に続く)

「桃花らくご」
日時:2026年12月7日(月)18:30開場 19:00開演
会場:本多劇場
料金:3,900円(税込)※全席指定
出演:蝶花楼桃花
ゲスト:三増紋之助
~チケット~
■桃花らくご制作委員会
chokarohmomoka.ticket@gmail.com
イープラス
https://eplus.jp/momoka-rakugo_2026/
蝶花楼桃花オフィシャルサイト https://momoka.club/

「Hello ailly!! Born to Smile 2026(ワンマンライブ)」

日時:2026年12月25日(金) OPEN   18:30  / START  19:00
会場:東京 下北沢ADRIFT
チケット
早割スタンディング ¥4500
スタンディング ¥5000
U25 ¥2000(要学生証)
※未就学児入場不可
ローチケ
https://l-tike.com/ailly/
お問い合わせ
LAND: info@land-f.jp
ailly オフィシャルサイト https://ailly.info/

「恵比寿RAKUGOフェス すっぴん桃花」
日時:2027年1月9日(土)16:45開演
会場:シアター・アルファ東京
料金:全席指定 前売:2,800円 当日:3,000円 1日券:8,960円 ※前売のみ/9,10日のみ
出演:蝶花楼桃花 アンジェリーナ1/3
チケットぴあ https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2634518

恵比寿RAKUGOフェスオフィシャルサイト https://www.unioneiga.co.jp/ebisu_rakugoka_fes/

 

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