logo
sankyo

噺家名鑑その8「春風亭正朝」

春風亭正朝(しゅんぷうてい しょうちょう)
1953年 1月12日生れ
山口県防府市出身
本名は、藤原義和(ふじわら よしかず)
 
1975年7月 5代目春風亭柳朝に入門 前座名「正朝」
1980年2月 「正朝」のまま二ツ目昇進
1985年9月 「正朝」真打昇進 
 
寄席という場所は、本当に様々な人が出てくる。様々な噺家が出てくるのみでなく、落語以外の奇術や漫談の様な色物と呼ばれる人たちも芸を披露する。そんな寄席を中心に活動していると、目立とうという魂胆で奇をてらう人も出てくることは否めない。それは好みの問題だからおいておくとしても、やはり古典落語ということに純粋にこだわろうとすると、堅実な芸を求めたくなる。

それは、落語が古典芸能だからではない。古典落語というのは継承の芸であり、多くの先人たちが高座にかけて無駄を削いだり、分かりにくさを修正したりと、研鑽されてきた継承の話芸だといえるからだ。その正統なる継承者たるのが、この「正朝」であり、よき例でもある。いたずらにはじけるのでもなければ、おどけるわけでも、ギャグの類を入れてくることすらない。ただ、継承されてきた古典を、きっちりと語ってくれる。

その語り口は、非常に快く、重くなりがちな大ネタでも、時間を忘れさせる魅力を持っている。それは、聴き手を知らぬうちに噺の中に取り込む技を持っている、ということに相違ない。うまい噺家は、「高座から演者が消える」と言われる。それは、たった一人で多くの人間を語り、聴き手に様々な場面を想像させる落語という芸の極致でもある。その「消える演者」の一人が「正朝」だ。

ただ、古典を継承するだけでは、それは、起こりえない。細部にわたり緻密に計算された、現代に通用する表現や、工夫。そんな努力と技に裏打ちされた、正統派の芸。それが最大の魅力であり、特徴であるからこそ、「正朝」は渋いのだ。


本格 本寸法 ビクター落語会 春風亭正朝 其の壱 井戸の茶碗/藪入り

ビクターエンタテインメント 2013.8.28 DVD VIBF-5487 ¥2,800(税込)

本格 本寸法 ビクター落語会 春風亭正朝 其の弐 へっつい幽霊/目黒の秋刀魚

ビクターエンタテインメント 2013.10.28 DVD VIBF-5507 ¥2,800(税込)