【レポート】2015/5/19 “笑わずにはいられない”桂雀々/三遊亭兼好二人会@北沢タウンホール


“笑わずにはいられない”桂雀々/三遊亭兼好二人会@北沢タウンホールへ

4月末以来、GWを挟んでライヴで落語を聴いてなかった。
もちろんディスクやほかでは折々聴いてはいたが、やっぱりそれだけだと落語脳が鈍ってる感じが…
こういう時は、なんも考えないと無条件に笑えるものがいい。
そう思ってここへ。
(まあいつも基本はそうなんですが)
とは言え、入りは50~60%程度で@北沢では少し寂しい。まあでもそれだけ濃い。

雀々/兼好、この二人に立川生志を加えて3人で「密会」という会がある。
このお三方、去年秋の福岡でも一緒に飲んでるところをWOWOWで放送されたり、緩やかに仲が良さそうである。
雀々さんは上方から東京に来て3,4年。
色んな方と二人会などをしてきて、大分東京でのパターンが固まりつつあるか…

前座が三遊亭わん丈君だったんで開口一番であるかなと思ったが、まずは雀々/兼好のご挨拶から。
演目は、

御挨拶/桂雀々&三遊亭兼好
桂雀々「くしゃみ講釈」
三遊亭兼好「百川」
仲入り
三遊亭兼好「館林」
桂雀々「手水回し」

最初のご挨拶では(生志を入れて)3人で会をやろうとすると誰か欠けると。
7月末の余一会@新宿末廣では兼好さんが今度は欠席とか…
兼好さんはその返しで雀々さんの東京での生活を少しツッコムが、なんかなんとなくいなす雀々さん。
兼好さんは“いやぁ北沢は久しぶりで、思わず成城に行きそうになって”
雀々さんはそう言うフリには乗らず、自分の事だけ喋る。
まるで大阪のオバチャンだ。
まぁ言えばフリートークでは路線堅持型で、あんまり外したりしない。

最初はその雀々さんで「くしゃみ講釈」
講釈師を嵌めるためにくしゃみを起こす材料として胡椒を買いに行くが、ここの行ったり来たりをしつこいぐらいに演る。
いつものパターンとはいえ、一回一回の反復がボディブローのように効いてきて、知らぬ間に度が過ぎて爆笑してる。

変わって兼好さん。
自分の出身地・会津若松の話しを少し振ってから方言(訛り)でつなげて「百川」
兼好さんの「百川」はいい意味で軽い。
口入屋から来たばかりの百兵衛さんと河岸の若い衆とのやり取りの面白さ(コミュニケーションギャップ)に殊更集中させるので、物語の流れなど少し忘れて楽しむ。
ちょうど百兵衛さんが、なんの間違えか“慈姑のきんとん”を飲み込むところでハプニング。
幼稚舎の制服を着たお坊ちゃんが会場にお客さんでいたのだが、駄々をこねて騒ぎ出す。
会場の緊張感が少し上がるが、そんなことどこ吹く風で子供の駄々も上手く物語の流れにギャグで混ぜる。
これには会全体が救われた。
携帯電話ならともかく、子供の大声なので不快というにも、何とも言えない雰囲気。
そこを混ぜてネタに組み込むのだから、二人会ながら図らずも“繋ぎの兼好”の技の面目躍如。
まあそれでも噺はどうしても30%減ぐらいの感じにはなったがファインプレーだろう。

気を取り直してってほどでもないだろうが、二席目は「館林」
兼好さんらしいボケ→爆笑
あえて張らずに、あっさりサービス心だけで笑わかせるに徹した感じだろう。
この日の役割全う、ってとこか。

トリは雀々さんの定番で「手水回し」
マクラは亡くなった米朝師匠の話しから。
これもディスコミニュケーションの話しだが、この日は徹底してどれもそんなネタ。
爆笑で締めて外さない。

北沢でこの日は最前列。
汗被り、唾被り席だったが、むしろ
「くしゃみ講釈」のくしゃみ連発の場面
「百川」の百兵衛のあどけなさとボケ、困る感じ
「館林」の助太刀に乗り込むアホさ加減
「手水回し」の長頭(ちょうず)をぐるぐる回す仕草
顔芸と仕草/所作、というよりはアクションを噺よりもそっちを楽しんで。
まだまだ北沢よりも池袋や新宿の方が合いそうな、かと言って下町でもなく…

でもまあ気張らずに…

この会がもっともっと北沢でウケるようになると、もうちょい実体的に景気が良くなるんじゃなかろうか??

TEXT:凡梅@STREET-WISE